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歌と甘い物大好きな音楽教師、バンリ [小説 : パラレル]

■ 我が家の28歳ラヴォクスのバンリが、フェアメル学園で、音楽教師に就任しました^^
わ~い、バンリ念願の音楽教師♪
文章書きの参加には自己紹介的なSSを提出するのが必須なので、昨日仕事から帰ってきてから一気に書いて提出してきました。自分でもかなり最速記録の部類。
何かもう、筆止らなくて…… 学園楽しすぎます^^
そして、相方の桜井嬢からは、教師版バンリの全身設定画ももらいました。
相方が描いてくれた設定画(文字等はミズリが入れました)と、自己紹介SSを、こちらにもUPさせていただきますね。
  

 
 
■ あ、そうそう、その前に。
学園版のバンリは、普通のバンリとは過去設定とかが全く違うので…… 普通のバンリと区別するために、ちょっとだけ違う雰囲気にしています。
主に髪型とか、表情とか。
(バンリの場合どっちもスーツだから、多少区別しないと学園パラレルの雰囲気出ませんしね^^)
性格も、普通のバンリが持ってる闇とか影の部分を出来る限り薄くして、ほんわかおっとりな部分を強調した感じです。
普通のバンリを『黒バンリ』とするなら、学園の方は『白バンリ』かな?
でもやっぱりバンリはバンリなので、基本は一緒なんですけどね。
それでは、ひとあし先に学園版バンリのご紹介です。
あ、詳しくは学園の方の名簿をご覧になって下さいね。ホントに名簿見てるだけで楽しいです。
 
 
 
フェアメル学園_バンリ.jpg

■ 名前/バンリ
■ 年齢/28歳
■ 担当教科/音楽
■ 担任クラス/高等部理系科1年
■ 顧問クラブ/天体観測部

・穏やかで繊細そうな印象の青年。童顔の女顔で、年齢より幼く見える。
・とても大人しく、真面目な性格。口調も穏やかで、誰に対しても丁寧語で話す。
・声楽専攻で、声域はテノール。楽器はちょっと不得意だけど、唯一得意なピアノを弾きながら生徒達と一緒に歌うのが好き。
・自分で曲を作るのも好きで、時にはオリジナルの歌を披露することも。
・3食パフェでもOKな甘党。別腹の容量は無限大。自分の音楽準備室には、大量のお菓子が常備されている。
・夜空が好きで天体観測部の顧問を務めるものの、観測会では真っ先に眠ってしまって部員に毛布を掛けてもらうのがお約束。
・側に寄るとほんのり甘い香りがするのは、香水を付けてるのではなくて、ラヴォクスだから。


 
 
 
 朝の音楽準備室に、ピアノの音色が流れていく。
 窓辺のグランドピアノに向かい、その青年教師は、ただひたむきに音を紡いでいた。
 細い指が鍵盤を滑れば、ぽろんと優しい音が零れる。
 その唇が柔らかく綻べば、澄んだ歌声が溢れ出す。
 開いた窓から入る風が、青褐色をした彼の髪をさらさらと揺らしていた。まるでピアノの音色と掛け合いをするように、さらさら、さらさらと。
 縁無しの眼鏡の奥で、長い睫がそっと瞼を撫でる。
 その指が奏でる音色も、その喉が紡ぐ歌声も、ずっと同じような旋律の繰り返しだった。少しずつ装いを変えながらも、ただただ、繰り返されていくメロディ。
「………………」
 青年の表情は、だんだん切なく、淋しげになっていく。
 やがて、ひとつ溜息をつくと、彼は鍵盤から手を下ろしてしまった。
 微かに残る余韻も、窓からの風に掻き消される。
 目にかかりそうな前髪を大きく振ると、彼は椅子の背もたれにギシッと寄りかかった。
「……ああ……」
 天井を見上げ、零れる声。
 それは歌声の続きのような、よく透るテノールだった。だが、それもつかの間、彼はごくりと息を飲み込んでしまう。
「っ、駄目だ…… 何か、違う……」
 代わりに洩れるのは、呻くような呟き。
 青年は悲しげに目を伏せると、よろりと椅子から腰を上げた。
 頭の上に突き出したラヴォクスの耳も、今はぺたりと項垂れたまま。背広の裾から覗く丸みを帯びた尻尾も、くったり垂れてしまっている。
 青年はそのままふらふらと窓辺の方へ歩いて行くと、また大きくため息をついた。
「………はぁ…… どうして………」


 音楽教師バンリの朝は、早い。
 まだ出勤する職員達もまばらな時間から、バンリは既に自分の音楽準備室に入っていた。
 真面目な性格だから、という理由もある。
 だがそれ以上に、こうして思うままにピアノを弾き、歌を歌えるこの時間が、自分にとってとても貴重だからだ。
 28歳の、音楽教師。
 23で教職に就いてから、今までずっと、色々な学校の臨時職員を転々としてきた。
 そして、やっと見つけた安住の場所。
 それがここ、フェアメル学園。
「………………」
 窓辺に寄りかかって、バンリは外の景色をぼんやりと眺めた。
 さらさらと風に揺れる、濃い灰色の髪。陽射しの中にいると、それは青銀のようにも見える。
 細く華奢なその体付きは、ある意味『音楽教師』というイメージに相応しいものだった。
 だが、首元まできっちりとネクタイをしめ、上品なスーツをピシッと着こなした姿は、まるでビジネスマンのようでもあり…… それでいて、その顔立ちはどこか女性的で、未だに少年のあどけなさも微かに残している。
 とても調和が取れていながら、それでいてどこか危うげで、何だか放っておけないような……
 バンリというラヴォクスに対する印象は、誰の目から見ても、だいたいはそのようなものだった。
 それは、バンリにとって、コンプレックスでもある。
 自分はもう大人で、自立した大の男なのに。
 せめて外見だけでも何とかしようと、教壇に立つ時は、ムシチョウに姿を変えることにした。このラヴォクスの耳と尻尾がなければ、少しは大人らしく見えるだろう。
 そして…… 大好きなお菓子も、学校では出来るだけ食べないことにする。
 甘い物には目が無く、もはや甘い物が主食とも言えるバンリにとって、それは苦渋の選択でもあった。
 でも。
 我慢、我慢。
 一日でも早く、立派な教師にならなくては。放浪していた自分を暖かく受け入れてくれた、このフェアメル学園の為にも。
 そう決意してから―――― 数ヶ月。
「……はぁ……」
 バンリは、また情けない溜息をついた。
 甘い物が食べたい。
 いや、そうじゃなくて…… 最近、いい曲がちっとも浮かんでこない。
 作曲という、自分の中に生まれるメロディを形にする作業は、バンリにとって音楽の楽しみのひとつだった。
 だけど、何故なのだろう。
 ここのところ、さっぱりいいメロディが浮かんでこないのだ。
 何かこう湧き上がって来たような気がして、夢中でピアノに向かってみても…… あと少しで手が届くというところで、泡のように消えていってしまう。
 届きそうで、届かない。
 もどかしい。
 別に作曲なんか出来なくても、授業に支障はないだろう。
 だけど、何だかまるで、自分から音楽が離れて行ってしまうような気がして…… 少し、怖かった。
 自分に出来ることは、音楽しかないのに。
 それがなくなってしまったら、一体自分には何が残るのだろう。
 言いようもない不安が、胸の中に、溜まっていく。
「…………………」
 窓から流れ込む、爽やかな風。
 優しい朝の太陽は、陽射しが苦手なバンリにも、暖かく、心地よく感じられた。
 カーテンを開け、開いた窓から少し顔を出してみる。
 すると、登校してきた生徒達が丁度外を歩いているところだった。
 楽しそうに笑っている女の子達。
 朝練が終わったばかりなのか、バットを背負って意気揚々と歩く少年。
 寄り添うように肩を並べて歩く、少年と少女の初々しい笑顔。
 それは、毎日繰り返されている、ありふれた光景だった。
 とてもありふれいて、そして、とても平凡な…… 一瞬、一瞬だけの、とても輝かしい瞬間。
「………っ……」
 眼鏡の奥で、バンリは目を見開いた。
 唇から、ため息が零れていく。胸に込み上げてきた何か暖かいものが、そのまま溢れ出すように。
 朝の陽射しを浴びて、楽しそうに歩いて行く生徒たち。
 みんな、輝いていた。
 元気が、溢れていた。笑顔が、溢れていた。
 それは、何だかとても、眩しくて。
 眩しくて、眩しくて…… 目を開けていることも、出来ないほど………
「………………」
 震えるように、バンリは瞼を伏せた。
 ……そう。
 ずっと、何かを忘れている気が、していた。
 何かが足りないような、そんな気がしていた。
 それが何かわからなくて、ずっともどかしかった。もどかしくて、もどかしくて…… とても、苦しかったけど。
 でも。
 こうやって思い出してみれば、それは何でもないこと。
 この学園の中にいれば、いつだって、そこにある。
 そんな、ありふれた…… だけど、とても眩しい、お日さまのようなこと。
「……そう、だ」
 この唇が柔らかく綻べば、澄んだテノールが零れ出す。 
「僕は、何の為に…… 音楽を教えようと、思ったのか……」
 風の音に、葉擦れの音に耳を傾ければ、メロディが泉のように湧き上がって来る。
 そう。
 ほら。聞こえるでしょう?
 頭で考えなくても、この耳は、この唇は、ちゃんとそれを知っているのだから。
 あとはそう、ただ思うまま、歌うだけ。
「………………」
 そっと、胸に手を当てる。
 カーテンを大きく開き、よく晴れた空を仰ぐと、バンリは高らかに歌声を紡いだ。
 葉擦れの音と、そよ風を伴奏にして。
 心のままに響かせるテノールは、風に乗って流れていく。遠く、遠く、どこまでも、どこまでも。
 校庭を歩いて行く生徒のひとりが、ふと足を止めた。
 彼女は校舎の方を見上げ、バンリ先生だ! と顔を綻ばせた。そして、紅葉のような手を、元気いっぱいに振って見せる。
 その小さな手に、バンリも手を振って応えた。
 物憂げに曇っていた顔は、今は安らぎの色に満たされていた。まるで陽射しの中に溶け込んでしまいそうな、淡い微笑みと一緒に。
「………ラ…ラ…… ララ…ラ………」
 思いのままに、歌う歌。
 歌詞はまだなくていい。きっと、いつの間にか胸に浮かんで来るから。
 この、満たされた思いを…… 皆に、伝えたい。
 音を紡ぐことの楽しさを、皆に教えたい。
 楽器なんかなくても、その唇を開けば、たちまち素敵な音色が溢れ出して来るのだから。
 自分の中から生まれて来る、素晴らしい音を。
 誰にでも、それは眠っているのだということを。
 皆に、教えたい。
 教えてあげたい。
 受験にも、就職にも、役には立たないかもしれないけれど。
 でも、いつかきっと…… 君だけの音色が、歩いて行く君を支えてくれるから。
 闇の中にいた僕を、音楽が救ってくれたように。
 そう。
 だから。僕は。
「……………………、ん………」
 小さく息を飲んで、バンリはそっと手を下ろす。
 爽やかな風に木々がざわめき、よく晴れた空を、小鳥たちが楽しそうに飛び回っていた。
 そのまま机に向かい、五線譜にそれを書き留める。
 手を止めることなく最後まで書き上げると、バンリは、眼鏡の奥の瞳をそっと細めた。
「……出来た」
 静かに、鉛筆を置く。
 その手で机の引き出しを開けると、バンリは小さな箱を取り出した。可愛い模様の描かれたそれを、ぱかっと開く。
 中に詰まっているのは、キラキラの銀紙にくるまれた、チョコレートボンボン。
 大事に大事に摘み上げて。丁寧に、銀紙を剥いて。
 そして、ぱくっと口の中に入れる。
「ふふっ…… 美味しい」
 蕩けそうな頬を押さえて、バンリは素直に顔をほころばせた。
 やっぱり僕は、甘い物が大好きだから。我慢するなんて、きっと良くない。
 音楽も、お菓子も、この学園も…… みんな、好きだから。
 だから、僕は歌い続けよう。
 生徒達も、先生達も、みんな一緒に。今日も楽しく、元気良く。
「………ん?」
 ふと。スピーカーから、ノスタルジックなチャイムが流れて来る。
 そろそろ職員室に行かなければいけない時間だ。
 その後は、すぐにHRの時間。受け持ったクラスの生徒達が、今日もきっと元気に迎えてくれるだろう。
 皆と交わす、おはようの挨拶。
 何だか楽しみで、楽しみで…… ふわふわの尻尾が、ぱたぱたと揺れてしまうほど。
「あ、そうだ。いけない」
 椅子の下で揺れている尻尾を見て、バンリは慌てて立ち上がった。そして、肩に手を当て、素早く呪文を唱える。
 すぅっと消えていく、ラヴォクスの耳と尻尾。
 スッキリした頭と後ろ姿を鏡に映して、バンリは満足げに頷いた。
「……これだけは、やっておきませんとね」
 そう、一応は教師としての威厳を保っておく為にも。
 鞄を小脇に挟み、準備室の鍵を机の上から取り上げる。
 そして、もうひとつチョコレートボンボンを口に押し込むと、バンリは颯爽と音楽室を出て行った。
  
 
 
 
 
フェアメル学園へ

 

 
 
■ ……すみません、夢見すぎました……orz
でも、でもっ、すごく楽しかった!!(*>▽<*) 久しぶりに学園物書きましたけど、やっぱり良いですね学園は。教師とか大好きすぎる……!
ちなみに、SS内でバンリに手を振ってくれた女の子は、勝手にちょんびちゃんのイメージで書いてました。(ちょっ、ミズリどれだけちょんびちゃん好きなの)
このSS書いてて、「そう言えば子供の頃、将来の夢は音楽の先生だったなぁ」ということを思い出したり。
結局ピアノもあんまり上手にならなかったし、塾通いが忙しくて音楽方向はすっぱり切り捨ててしまいましたが…… 音楽はずっと好きだったんですよね。
高校では芸術の授業を音楽・美術・書道から選択出来たのですが、迷わず3年間音楽を選択していましたし。みんなが嫌がる先生のすぐ側の席(ピアノのすぐ前)に陣取って、かぶりつきで授業受けてたなぁ……(しみじみ)
最近また何となく音楽のことを思い出して、作曲の真似事はじめたりもしてますけど。
ホントに、バンリが音楽の先生になれて、すごく嬉しいです^^
「自分で曲作るのも好き」って設定にしたので、学園系ソングで歌作りの修行もさせていただこうかなーと思ってますよ。

■ あ、あと、学園のバンリもやっぱり夜が好きなので、天体観測部の顧問もさせていただいちゃいました。
部員の皆様も、それから受け持たせていただく高等部理系1年の皆様も、どうぞよろしくお願いしますね^^
同じ音楽の先生もとても素敵な女性の方で、ドキドキです。いずれ菓子折持ってご挨拶に~♪
それから、千紗の方も教師としてフェアメル学園に送り込んでしまいました。
『ちょっと前まで巨大企業の重役やってたのに、何故か突然教師に転身した』という設定で。
担当は、社会科です。よろしくお願いします^^
 
 

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