飛べないヴォルグの英語教師、ヒナタ [小説 : パラレル]
■ バンリ・千紗に続き、脳内ヴォルグのヒナタがフェアメル学園で英語の先生になりました。
着任おめでとうございますメールをいただくのは4回目ですが、いつも「おめでとうございます」ってタイトルを見る度に何だか嬉しくなってしまいます^^
ヒナタというヴォルグ兄さん…… バンリや千紗より印象薄いだろうと思うのですが、歴とした「Dolly Shadow」の登場メンバーです^^;
一度、バンリの過去話で登場しました。
ミズリ内ではけっこうお気に入りだったりします。
■ ヴォルグのヒナタは、29歳。
カフェオレ色のショートポニテに、穏やかだけど隙がない切れ長の緑眼、着崩したスーツと革コートを纏った、ミュージシャン風の兄さんです。
前髪は長めの真ん中分けで、ショートポニテは肩くらいまでのストレートのイメージで。
そんな人目を引く感じの外見とは裏腹に、気さくで面倒見の良い性格をしてます。あと、口調がちょっとおっさんっぽいです(笑)
背中にはヴォルグの翼がありますが、何故か空は飛べません。
元のヒナタはフリーの運び屋(車両の扱いに関してはスペシャリスト)をやってて、バンリがエージェント時代からの付き合いです。当時は千紗から雇われて、二人の間の橋渡し役をしていました。
ですが、学園の方はパラレルなので…… 学園版ヒナタは、バンリと千紗の学生時代の先輩ということにします^^
バンリのことを『マリィちゃん』と呼んで可愛がる一方、千紗には何か恩義があるらしくて頭が上がりません。バンリにはあれこれちょっかいは出しますが、基本的に千紗との仲を応援しています。
その辺は、元のヒナタと同じですけど…… バンリへのちょっかい度が、学園ヒナタの方が高いかなぁ……(そして千紗はやきもき)
見た目のイメージは、通常版も学園版もほとんど一緒です。服装とかも。
そんな感じをご想像下されば嬉しいです^^
■ それでは、以下学園版ヒナタのご紹介です。
■ 名前/ヒナタ
■ 種族/ヴォルグ
■ 年齢/29歳
■ 身長/185cm
■ 担当教科/英語
■ 顧問クラブ/サッカー部
■ 一人称/オレ
■ 二人称/君、お前さん、~先生、(対バンリ)マリィちゃん、(対千紗)千紗の旦那
■ 生徒への呼び方/基本呼び捨て
・気さくで親しみやすい雰囲気を漂わせた青年。
・その緑色の目は穏やかだが、隙がなく、どこか野生動物のような輝きがある。
・カフェオレ色の髪は肩下くらいの長さで、それをポニーテールに結んでいる。服装は、適度に着崩したスーツ姿が基本。ネクタイはしていないことも多い。
・背中にはヴォルグの翼があるが、何故か飛ぶことは出来ない。消しておくことも出来ず、本人にとっては邪魔なもの。
・面倒見の良い性格で、生徒にも教師にも気さくに接する。笑顔でいることが多く、それを崩すことはあまりない。一方、ふとした瞬間に意外なほどクールな一面を覗かせることもある。冷静に第三者的視点で物事を見るタイプ。
・アコースティックギターが好きで、授業でもよくギターを弾きながら英語の歌を歌わせたりする。
・英語は音楽と一緒だと早く身につく、というのが持論。
・サッカー観戦が好きでサッカー部の顧問になったが、自分でプレイするのは苦手。サッカーチーム育成ゲームなら大得意。
・音楽教諭のバンリは学生時代の後輩で、勝手に『マリィちゃん』と呼んで可愛がっている。
・社会科教諭の千紗とも親しいが、彼には少々恩義があり、頭が上がらない。
※ 学園版設定でイラスト・小説を書く場合は、フェアメル学園のリンクが必須です ※
ヴォルグの少年が、青空へと舞い上がっていく。
陽の光を浴びた翼を眩しそうに見上げながら、その青年は、どこかほろ苦い笑みを浮かべた。
真ん中分けの前髪を掻き上げれば、陰から覗く切れ長の緑眼。
だが、それをどこか情けなそうに細めると、青年はくすっと含み笑いを洩らした。
「……やれやれ」
独り肩をすくめ、青年は踵を返す。
ふわりと揺れたポニーテールの髪は、金とも茶とも付かない色。まるで、ミルクを入れたコーヒーのような色だ。
着崩したスーツの上着を掻き合わせ、青年は、学園の廊下を歩いていく。
一足ごとに揺れる、カフェオレ色の髪。
そして、まるでそれと掛け合いをするように、青年の背中で揺れ動く―――― 漆黒の、ヴォルグの翼。
青年はすらりと背が高く、顔立ちもどちらかと言えば整っていて、それなりに人目を引く容姿ではあった。そんな彼が着崩したスーツに身を包み、蝙蝠のような翼を背負っている様は、ライブハウスでライトを浴びているのが相応しいようにも見える。
だが、青年にとってこの翼は、無用の長物以外の何物でもなかった。
ひとつは、彼はヴォルグだというのに、空を飛べないこと。
もうひとつは、彼はミュージシャンなどではなく、歴とした教師であること。
英語教師、ヒナタ。
それが、このフェアメル学園という場所での、彼の持つ名だ。
ヒナタは小脇に抱えた教科書を抱え直すと、階段を上へ登っていく。翼を羽ばたかせるのではなく、一歩一歩階段を足で踏みしめて。
自分が何故飛べないのか。それは、ヒナタ自身にもよくわからない。
もしかしたら、自分だって飛べるのかもしれない。屋上あたりから、思い切って飛び降りてみれば。
ただ、そんなことを試す気には、とてもなれなかった。
飛べなくたって、自分には足がある。
世の中は飛べない種族の方が多いのだ。上へ行きたければ、この足で階段を登ればいい。こうやって、一歩一歩。
一足登る度に、背中でヴォルグの翼が揺れる。
この無用の長物を、消しておけたらどんなに良いだろう。だが、自分にはそういう“魔法”も備わっていない。
自分にとっては、邪魔物でしかない―――― この、翼。
だけど。
役にも立たないこの翼を、好きだと、言ってくれる子がいた。
すごく格好いいです、と。
ヒナタさんにぴったりです、と。あどけなさの残る顔を綻ばせて、そう言ってくれた、あの子。
別に、そんな無邪気な言葉にほだされたわけじゃないけれど……。
今、自分はその子のところへ向かっている。
もう、『その子』と呼ぶのはおかしいだろうか。自分がこうして歳を取ったように、彼もまた立派な大人になったのだから。
だけど、それは社会的に見れば、であって。
自分にとっては、あの子は…… まだまだ、可愛い『マリィちゃん』のままだ。
「おっと。おいコラお前ら、あんまり階段で走るなよー」
元気に駆け下りていく生徒達に、笑いながら声を掛ける。
そして階段を上りきると、ヒナタは『音楽室』と掲げられた部屋へ入っていった。
慣れた足取りでその部屋を横切り、奥にある扉のひとつをノックする。
そして、返事を待たずに扉を押し開け、中へ入った。
「よぉ。マリィちゃん、いるかい?」
そう呼びかけ、部屋をぐるりと見回す。
すると、グランドピアノに向かっていた青年がふっと顔を上げた。
「ああ、ヒナタ先生……」
最初は驚きを浮かべたその顔が、すぐに微笑みに綻んでいく。
縁無しの眼鏡を指で押し上げながら、その青年は椅子から腰を上げた。
僅かに開いた窓から、爽やかな風が流れ込んでくる。翻るカーテンと一緒にさらさら揺れる、その濃灰色の髪。
音楽教師、バンリ。
学生時代の、ヒナタの後輩だ。
その大人しく控えめな微笑みは、学生時代から全く変わっていない。もちろん、お互いに歳は取ったけれど。
愛すべき後輩の笑顔に心癒されつつ、ヒナタは遠慮無くピアノに近づいた。そして、意味もなくその肩に手を置いたりする。
「邪魔して悪いな、マリィちゃん。預かってもらってるヤツ、出してもらえるか?」
「あ、はい。ちょっと待って下さいね」
その手を放してやると、バンリはいそいそ戸棚の方へ向かった。
そして、中から大きな物を引っ張り出し、大事そうに抱えて戻って来る。
「お待たせしました、どうぞ」
「ああ、サンキュ」
差し出されたその大きなものを、ヒナタは軽々と受け取った。
黒い革の、ギターケース。
ヒナタはそれを床に置くと、中からアコースティックギターを取り出した。
そして、適当な椅子に腰掛けると、手慣れた仕草で調弦を始める。
これは、昔からヒナタが愛用しているギターだった。それこそ、学生の頃から、ずっと。
毎朝、ヒナタはギターケースを持って出勤する。
そして、必ず音楽室に立ち寄り、バンリにギターを預かってもらう。それから職員室に戻って授業の支度をするのが、ヒナタの習慣だった。
別に、関係ない私物を持ち込んでいるわけじゃない。
このギターも、ヒナタにとっては歴とした『教材』なのだ。
「また、授業で英語の歌を歌うのですか?」
調弦するヒナタを懐かしそうに眺めながら、バンリが首を傾げる。
そんな後輩に、ヒナタは苦笑して見せた。
「ああ、そのつもりさ。だが、まぁ…… 連中、恥ずかしがってなかなか歌ってくれないんだけどね。特に、野郎どもは」
「ふふっ、やっぱり……」
同じように笑顔をほろ苦くして、バンリが頷く。
「みんなと一緒に歌うというのは、男の子には恥ずかしいことなのかもしれませんね。僕は歌うことが好きでしたから、そうは思いませんでしたけど…… 僕の音楽の授業でも、恥ずかしそうにしてる子はいますよ」
「ったくなぁ…… そいつらも、カラオケとかじゃ歌って大盛り上がりするだろうに」
「あはは。カラオケとは違うんですよ、きっと」
「ま、わからなくもないけどね…… オレだって、ギターでも弾きながら、独りで鼻歌歌ってる方が好きだったし」
長い前髪をさらりと揺らし、ヒナタはギターを抱え直す。
その指が弦を弾くと、優しげな音色がぽろんと零れた。ぽろん、ぽろん。零れ出す音色は、やがてメロディを奏でていく。
バンリは、心地よさそうに瞼を伏せた。
窓から流れてくる風に、束ねたヒナタの髪がさらさら揺れる。紡がれていくギターの音色に寄り添うように。
「……それにしても」
歌声の代わりに、澄んだテノールが旋律に重なっていく。
「ヒナタさんが、英語の先生になるなんて…… 今でも、少し意外です」
「そうかい?」
「ええ。僕は、てっきり…… ヒナタさんはギターの道に進まれるのだと、思っていましたから」
「……………」
ヒナタは、口をつぐむ。
そんな夢を見ていた時期も、確かにあった。
でも、自分にはそれほどのギターの腕はない。いや、もしもあったとしても、きっとその道は選ばなかっただろう。
何故なら、自分にはもっと――――
「いつだったか、マリィちゃん…… オレが英語すごい出来るようになったのを、褒めてくれたよな」
ギターを爪弾きながら、ヒナタはぽつりと言う。
「それはまぁ、ガラにもなく必死に勉強したってのもあるんだが…… 何より、オレの好きな歌の“意味”を、自分の肌で感じたかったんだよ」
「……肌、で?」
ぱちぱちと、バンリは目を瞬かせる。
そんな後輩にフッと笑って見せると、ヒナタは指を止めた。
優しい音色が、止む。
風に揺すられる髪を掻き上げ、ヒナタはギターを膝に置いた。
「オレ、昔から洋楽が好きだっただろ? もちろん言葉の意味はわからないけど、歌ならいくらでも覚えられるし、いくらでも歌えた。……だけど、それだけじゃ物足りなくなったんだ」
「……………」
「この歌にどんな想いが込められているのか、それが知りたくなったんだ。そりゃ、訳詞を読めばすぐにわかるぜ? でも、それは訳したヤツの感じたものを押しつけられてるようなもんだ。それだけじゃ、物足りない…… オレに英語がわかれば、この歌の意味がわかる…… この歌に込められた想いを、感じ取れるようになる……」
今になって思えば、なんて『若かった』のだろう。
だけど、その時の自分にとって、それはどうしようもない欲求だった。どうしても、抑えられなかった。
そうして、真剣に英語と向き合ってみると…… 不思議なことに、それはするすると自分の中に入り込んでいった。
読めなかったものが読めるようになり、会話の通じなかった人とも話が出来るようになった。
それは、とても楽しいことだった。
そして、欲求はそれだけにとどまらず…… やがて、ひとつの“夢”を抱くようになる。
英語を、教えたい。
世界が広がっていくことの楽しさを、自分の手で、教えてみたい。
たったひとつの若い欲求から、こんなにも広がった“夢”。自分にとっても、意外な方向で。
だけど、そんなのも…… ちょっと、悪くない。
聞けば、秘書を目指していたはずの可愛い後輩も、いつの間にか音楽教師への道を歩み始めたのだという。
それなら、オレもやってみようか。
オレのやり方で、オレらしく。新しく生まれた“夢”を、また、叶えてみよう――――
「どうだ、マリィちゃん。下手の横好きも、ここまで来ればちょっとしたものだろ?」
「ふふっ…… 本当ですね」
戯けたように片目を閉じて見せれば、バンリもくすくすと笑う。
この後輩にも、色々と思うことがあったのだろう。こうやって今、共にこのフェアメル学園にいるということは、様々な想いの重なり合った結果に違いない。
だけど、お互いに、こうして笑い合える今は……
やっと自分の『居場所』に辿り着いたような、そんな、感覚。
「おっと、こうのんびりもしちゃいられないな。そろそろチャイムが鳴っちまう」
はたと顔を上げると、ヒナタはギターをケースに入れ始めた。
バンリもやっと我に返った顔をして、壁の時計を見上げる。
「ああ、本当ですね。僕も、次は授業でした」
「長居して悪かったな、マリィちゃん。また放課後にでも寄らせてもらうよ」
「ええ、いつでも…… お待ちしてます」
ケースの蓋を閉め、ベルトを肩に掛けると、ヒナタは立ち上がった。
飛べないヴォルグの翼が大きく羽ばたく。まるで、空へ舞い上がろうとするように。
じゃあなと後輩へ手を掲げ、ヒナタは音楽準備室を出た。
その背中に、澄んだテノールの声が掛かる。
「お疲れ様です、ヒナタ先生。いってらっしゃい」
穏やかに微笑みながら、ひらひらと手を振る、愛すべき後輩。
何となく、照れくさいような気分になりつつ―――― ヒナタは手を振り替えすと、音楽室を出た。
「……こんなトコ千紗の旦那に見られたら、睨まれるだろうなぁ……」
思わず、独り苦笑する。
妙にふわふわとする気持ちを、頭を掻いて誤魔化すと。愛用のギターを抱え、ヒナタは次の教室へと歩いて行った。
■ というわけで、学園版ヒナタはこんな感じの先生です^^
ヒナタにはどんな教科が合うだろうなぁって考えていて…… そうだ、ヒナタはストリートミュージシャンやってるんだったなぁということを思い出し…… 洋楽とか好きそうだし、英語とか? そう言えば、英語の塾でやたらと英語の歌を聴かせたり歌わせたりする先生がいたっけ。むむ、それ使えるかも…… とかあれこれ考えているうちに、ヒナタは英語の先生ということになりました。
ミズリ自身英語がさっぱりなので、英語の先生なんて書けるかなぁとは思いましたけど…… その辺はまぁ、自分が習ってきた英語の先生たちを思い出しつつ^^;
ヒナタはとても気さくで面倒見の良い性格なので、生徒の相談事とかには親身になって手助けをしそうです。
もちろん、先生達も困ったことがあれば喜んでお手伝いしますよ。ちょっと「しょうがないなぁ」的なことは言いますけど。
バンリにちょっかい出したりするので、千紗によく睨まれてることがあります。でも、千紗もヒナタのことは信頼してるので、それも二人なりのコミュニケーションだったり。(そんな千紗とヒナタを、バンリは微笑ましそうに見てます^^)
サッカー部の顧問ですが、自分ではサッカー出来ません。
でも、サッカーチーム育成ゲームは大好きなので、監督としてはそれなりにちゃんとやってるのではないかと思います。(ただ、ミズリがサッカーを全然知らないので、その辺はご容赦を^^;)
……と、そういう感じで…… 基本的には気さくなみんなのお兄さんという感じの先生です。
英語教師ヒナタのことも、よろしくお願いします^^
■ 千紗の部屋を見たら、とっても可愛い家出さんが来ていましたよ。
「わぁ……! とても可愛いお客さんですね、千紗さん」
「ああ、そうだな」
黒い王冠をちょこっとかぶった、ちっちゃなクロメさん。わぁぁ、可愛い可愛い!
思わず、クロメ王君が遊びに来てくれたのかと思っちゃいました^^
バイレコ見たら、明日で丁度800日!
プラステ浸かってるし、島も最近のヤミショアイテムがあって、大事にされているお子さんみたいです。よかった^^
「……こうしていると、何だか…… まるで……」
「千紗さん?」
「いや、何でもない」
うっかり、微笑ましい妄想をしそうになっちゃった千紗さん^^
可愛いクロメさん。ご主人様がお迎えに来るまで、千紗の部屋でゆっくりしていって下さいね。
着任おめでとうございますメールをいただくのは4回目ですが、いつも「おめでとうございます」ってタイトルを見る度に何だか嬉しくなってしまいます^^
ヒナタというヴォルグ兄さん…… バンリや千紗より印象薄いだろうと思うのですが、歴とした「Dolly Shadow」の登場メンバーです^^;
一度、バンリの過去話で登場しました。
ミズリ内ではけっこうお気に入りだったりします。
■ ヴォルグのヒナタは、29歳。
カフェオレ色のショートポニテに、穏やかだけど隙がない切れ長の緑眼、着崩したスーツと革コートを纏った、ミュージシャン風の兄さんです。
前髪は長めの真ん中分けで、ショートポニテは肩くらいまでのストレートのイメージで。
そんな人目を引く感じの外見とは裏腹に、気さくで面倒見の良い性格をしてます。あと、口調がちょっとおっさんっぽいです(笑)
背中にはヴォルグの翼がありますが、何故か空は飛べません。
元のヒナタはフリーの運び屋(車両の扱いに関してはスペシャリスト)をやってて、バンリがエージェント時代からの付き合いです。当時は千紗から雇われて、二人の間の橋渡し役をしていました。
ですが、学園の方はパラレルなので…… 学園版ヒナタは、バンリと千紗の学生時代の先輩ということにします^^
バンリのことを『マリィちゃん』と呼んで可愛がる一方、千紗には何か恩義があるらしくて頭が上がりません。バンリにはあれこれちょっかいは出しますが、基本的に千紗との仲を応援しています。
その辺は、元のヒナタと同じですけど…… バンリへのちょっかい度が、学園ヒナタの方が高いかなぁ……(そして千紗はやきもき)
見た目のイメージは、通常版も学園版もほとんど一緒です。服装とかも。
そんな感じをご想像下されば嬉しいです^^
■ それでは、以下学園版ヒナタのご紹介です。
■ 名前/ヒナタ
■ 種族/ヴォルグ
■ 年齢/29歳
■ 身長/185cm
■ 担当教科/英語
■ 顧問クラブ/サッカー部
■ 一人称/オレ
■ 二人称/君、お前さん、~先生、(対バンリ)マリィちゃん、(対千紗)千紗の旦那
■ 生徒への呼び方/基本呼び捨て
・気さくで親しみやすい雰囲気を漂わせた青年。
・その緑色の目は穏やかだが、隙がなく、どこか野生動物のような輝きがある。
・カフェオレ色の髪は肩下くらいの長さで、それをポニーテールに結んでいる。服装は、適度に着崩したスーツ姿が基本。ネクタイはしていないことも多い。
・背中にはヴォルグの翼があるが、何故か飛ぶことは出来ない。消しておくことも出来ず、本人にとっては邪魔なもの。
・面倒見の良い性格で、生徒にも教師にも気さくに接する。笑顔でいることが多く、それを崩すことはあまりない。一方、ふとした瞬間に意外なほどクールな一面を覗かせることもある。冷静に第三者的視点で物事を見るタイプ。
・アコースティックギターが好きで、授業でもよくギターを弾きながら英語の歌を歌わせたりする。
・英語は音楽と一緒だと早く身につく、というのが持論。
・サッカー観戦が好きでサッカー部の顧問になったが、自分でプレイするのは苦手。サッカーチーム育成ゲームなら大得意。
・音楽教諭のバンリは学生時代の後輩で、勝手に『マリィちゃん』と呼んで可愛がっている。
・社会科教諭の千紗とも親しいが、彼には少々恩義があり、頭が上がらない。
※ 学園版設定でイラスト・小説を書く場合は、フェアメル学園のリンクが必須です ※
ヴォルグの少年が、青空へと舞い上がっていく。
陽の光を浴びた翼を眩しそうに見上げながら、その青年は、どこかほろ苦い笑みを浮かべた。
真ん中分けの前髪を掻き上げれば、陰から覗く切れ長の緑眼。
だが、それをどこか情けなそうに細めると、青年はくすっと含み笑いを洩らした。
「……やれやれ」
独り肩をすくめ、青年は踵を返す。
ふわりと揺れたポニーテールの髪は、金とも茶とも付かない色。まるで、ミルクを入れたコーヒーのような色だ。
着崩したスーツの上着を掻き合わせ、青年は、学園の廊下を歩いていく。
一足ごとに揺れる、カフェオレ色の髪。
そして、まるでそれと掛け合いをするように、青年の背中で揺れ動く―――― 漆黒の、ヴォルグの翼。
青年はすらりと背が高く、顔立ちもどちらかと言えば整っていて、それなりに人目を引く容姿ではあった。そんな彼が着崩したスーツに身を包み、蝙蝠のような翼を背負っている様は、ライブハウスでライトを浴びているのが相応しいようにも見える。
だが、青年にとってこの翼は、無用の長物以外の何物でもなかった。
ひとつは、彼はヴォルグだというのに、空を飛べないこと。
もうひとつは、彼はミュージシャンなどではなく、歴とした教師であること。
英語教師、ヒナタ。
それが、このフェアメル学園という場所での、彼の持つ名だ。
ヒナタは小脇に抱えた教科書を抱え直すと、階段を上へ登っていく。翼を羽ばたかせるのではなく、一歩一歩階段を足で踏みしめて。
自分が何故飛べないのか。それは、ヒナタ自身にもよくわからない。
もしかしたら、自分だって飛べるのかもしれない。屋上あたりから、思い切って飛び降りてみれば。
ただ、そんなことを試す気には、とてもなれなかった。
飛べなくたって、自分には足がある。
世の中は飛べない種族の方が多いのだ。上へ行きたければ、この足で階段を登ればいい。こうやって、一歩一歩。
一足登る度に、背中でヴォルグの翼が揺れる。
この無用の長物を、消しておけたらどんなに良いだろう。だが、自分にはそういう“魔法”も備わっていない。
自分にとっては、邪魔物でしかない―――― この、翼。
だけど。
役にも立たないこの翼を、好きだと、言ってくれる子がいた。
すごく格好いいです、と。
ヒナタさんにぴったりです、と。あどけなさの残る顔を綻ばせて、そう言ってくれた、あの子。
別に、そんな無邪気な言葉にほだされたわけじゃないけれど……。
今、自分はその子のところへ向かっている。
もう、『その子』と呼ぶのはおかしいだろうか。自分がこうして歳を取ったように、彼もまた立派な大人になったのだから。
だけど、それは社会的に見れば、であって。
自分にとっては、あの子は…… まだまだ、可愛い『マリィちゃん』のままだ。
「おっと。おいコラお前ら、あんまり階段で走るなよー」
元気に駆け下りていく生徒達に、笑いながら声を掛ける。
そして階段を上りきると、ヒナタは『音楽室』と掲げられた部屋へ入っていった。
慣れた足取りでその部屋を横切り、奥にある扉のひとつをノックする。
そして、返事を待たずに扉を押し開け、中へ入った。
「よぉ。マリィちゃん、いるかい?」
そう呼びかけ、部屋をぐるりと見回す。
すると、グランドピアノに向かっていた青年がふっと顔を上げた。
「ああ、ヒナタ先生……」
最初は驚きを浮かべたその顔が、すぐに微笑みに綻んでいく。
縁無しの眼鏡を指で押し上げながら、その青年は椅子から腰を上げた。
僅かに開いた窓から、爽やかな風が流れ込んでくる。翻るカーテンと一緒にさらさら揺れる、その濃灰色の髪。
音楽教師、バンリ。
学生時代の、ヒナタの後輩だ。
その大人しく控えめな微笑みは、学生時代から全く変わっていない。もちろん、お互いに歳は取ったけれど。
愛すべき後輩の笑顔に心癒されつつ、ヒナタは遠慮無くピアノに近づいた。そして、意味もなくその肩に手を置いたりする。
「邪魔して悪いな、マリィちゃん。預かってもらってるヤツ、出してもらえるか?」
「あ、はい。ちょっと待って下さいね」
その手を放してやると、バンリはいそいそ戸棚の方へ向かった。
そして、中から大きな物を引っ張り出し、大事そうに抱えて戻って来る。
「お待たせしました、どうぞ」
「ああ、サンキュ」
差し出されたその大きなものを、ヒナタは軽々と受け取った。
黒い革の、ギターケース。
ヒナタはそれを床に置くと、中からアコースティックギターを取り出した。
そして、適当な椅子に腰掛けると、手慣れた仕草で調弦を始める。
これは、昔からヒナタが愛用しているギターだった。それこそ、学生の頃から、ずっと。
毎朝、ヒナタはギターケースを持って出勤する。
そして、必ず音楽室に立ち寄り、バンリにギターを預かってもらう。それから職員室に戻って授業の支度をするのが、ヒナタの習慣だった。
別に、関係ない私物を持ち込んでいるわけじゃない。
このギターも、ヒナタにとっては歴とした『教材』なのだ。
「また、授業で英語の歌を歌うのですか?」
調弦するヒナタを懐かしそうに眺めながら、バンリが首を傾げる。
そんな後輩に、ヒナタは苦笑して見せた。
「ああ、そのつもりさ。だが、まぁ…… 連中、恥ずかしがってなかなか歌ってくれないんだけどね。特に、野郎どもは」
「ふふっ、やっぱり……」
同じように笑顔をほろ苦くして、バンリが頷く。
「みんなと一緒に歌うというのは、男の子には恥ずかしいことなのかもしれませんね。僕は歌うことが好きでしたから、そうは思いませんでしたけど…… 僕の音楽の授業でも、恥ずかしそうにしてる子はいますよ」
「ったくなぁ…… そいつらも、カラオケとかじゃ歌って大盛り上がりするだろうに」
「あはは。カラオケとは違うんですよ、きっと」
「ま、わからなくもないけどね…… オレだって、ギターでも弾きながら、独りで鼻歌歌ってる方が好きだったし」
長い前髪をさらりと揺らし、ヒナタはギターを抱え直す。
その指が弦を弾くと、優しげな音色がぽろんと零れた。ぽろん、ぽろん。零れ出す音色は、やがてメロディを奏でていく。
バンリは、心地よさそうに瞼を伏せた。
窓から流れてくる風に、束ねたヒナタの髪がさらさら揺れる。紡がれていくギターの音色に寄り添うように。
「……それにしても」
歌声の代わりに、澄んだテノールが旋律に重なっていく。
「ヒナタさんが、英語の先生になるなんて…… 今でも、少し意外です」
「そうかい?」
「ええ。僕は、てっきり…… ヒナタさんはギターの道に進まれるのだと、思っていましたから」
「……………」
ヒナタは、口をつぐむ。
そんな夢を見ていた時期も、確かにあった。
でも、自分にはそれほどのギターの腕はない。いや、もしもあったとしても、きっとその道は選ばなかっただろう。
何故なら、自分にはもっと――――
「いつだったか、マリィちゃん…… オレが英語すごい出来るようになったのを、褒めてくれたよな」
ギターを爪弾きながら、ヒナタはぽつりと言う。
「それはまぁ、ガラにもなく必死に勉強したってのもあるんだが…… 何より、オレの好きな歌の“意味”を、自分の肌で感じたかったんだよ」
「……肌、で?」
ぱちぱちと、バンリは目を瞬かせる。
そんな後輩にフッと笑って見せると、ヒナタは指を止めた。
優しい音色が、止む。
風に揺すられる髪を掻き上げ、ヒナタはギターを膝に置いた。
「オレ、昔から洋楽が好きだっただろ? もちろん言葉の意味はわからないけど、歌ならいくらでも覚えられるし、いくらでも歌えた。……だけど、それだけじゃ物足りなくなったんだ」
「……………」
「この歌にどんな想いが込められているのか、それが知りたくなったんだ。そりゃ、訳詞を読めばすぐにわかるぜ? でも、それは訳したヤツの感じたものを押しつけられてるようなもんだ。それだけじゃ、物足りない…… オレに英語がわかれば、この歌の意味がわかる…… この歌に込められた想いを、感じ取れるようになる……」
今になって思えば、なんて『若かった』のだろう。
だけど、その時の自分にとって、それはどうしようもない欲求だった。どうしても、抑えられなかった。
そうして、真剣に英語と向き合ってみると…… 不思議なことに、それはするすると自分の中に入り込んでいった。
読めなかったものが読めるようになり、会話の通じなかった人とも話が出来るようになった。
それは、とても楽しいことだった。
そして、欲求はそれだけにとどまらず…… やがて、ひとつの“夢”を抱くようになる。
英語を、教えたい。
世界が広がっていくことの楽しさを、自分の手で、教えてみたい。
たったひとつの若い欲求から、こんなにも広がった“夢”。自分にとっても、意外な方向で。
だけど、そんなのも…… ちょっと、悪くない。
聞けば、秘書を目指していたはずの可愛い後輩も、いつの間にか音楽教師への道を歩み始めたのだという。
それなら、オレもやってみようか。
オレのやり方で、オレらしく。新しく生まれた“夢”を、また、叶えてみよう――――
「どうだ、マリィちゃん。下手の横好きも、ここまで来ればちょっとしたものだろ?」
「ふふっ…… 本当ですね」
戯けたように片目を閉じて見せれば、バンリもくすくすと笑う。
この後輩にも、色々と思うことがあったのだろう。こうやって今、共にこのフェアメル学園にいるということは、様々な想いの重なり合った結果に違いない。
だけど、お互いに、こうして笑い合える今は……
やっと自分の『居場所』に辿り着いたような、そんな、感覚。
「おっと、こうのんびりもしちゃいられないな。そろそろチャイムが鳴っちまう」
はたと顔を上げると、ヒナタはギターをケースに入れ始めた。
バンリもやっと我に返った顔をして、壁の時計を見上げる。
「ああ、本当ですね。僕も、次は授業でした」
「長居して悪かったな、マリィちゃん。また放課後にでも寄らせてもらうよ」
「ええ、いつでも…… お待ちしてます」
ケースの蓋を閉め、ベルトを肩に掛けると、ヒナタは立ち上がった。
飛べないヴォルグの翼が大きく羽ばたく。まるで、空へ舞い上がろうとするように。
じゃあなと後輩へ手を掲げ、ヒナタは音楽準備室を出た。
その背中に、澄んだテノールの声が掛かる。
「お疲れ様です、ヒナタ先生。いってらっしゃい」
穏やかに微笑みながら、ひらひらと手を振る、愛すべき後輩。
何となく、照れくさいような気分になりつつ―――― ヒナタは手を振り替えすと、音楽室を出た。
「……こんなトコ千紗の旦那に見られたら、睨まれるだろうなぁ……」
思わず、独り苦笑する。
妙にふわふわとする気持ちを、頭を掻いて誤魔化すと。愛用のギターを抱え、ヒナタは次の教室へと歩いて行った。
■ というわけで、学園版ヒナタはこんな感じの先生です^^
ヒナタにはどんな教科が合うだろうなぁって考えていて…… そうだ、ヒナタはストリートミュージシャンやってるんだったなぁということを思い出し…… 洋楽とか好きそうだし、英語とか? そう言えば、英語の塾でやたらと英語の歌を聴かせたり歌わせたりする先生がいたっけ。むむ、それ使えるかも…… とかあれこれ考えているうちに、ヒナタは英語の先生ということになりました。
ミズリ自身英語がさっぱりなので、英語の先生なんて書けるかなぁとは思いましたけど…… その辺はまぁ、自分が習ってきた英語の先生たちを思い出しつつ^^;
ヒナタはとても気さくで面倒見の良い性格なので、生徒の相談事とかには親身になって手助けをしそうです。
もちろん、先生達も困ったことがあれば喜んでお手伝いしますよ。ちょっと「しょうがないなぁ」的なことは言いますけど。
バンリにちょっかい出したりするので、千紗によく睨まれてることがあります。でも、千紗もヒナタのことは信頼してるので、それも二人なりのコミュニケーションだったり。(そんな千紗とヒナタを、バンリは微笑ましそうに見てます^^)
サッカー部の顧問ですが、自分ではサッカー出来ません。
でも、サッカーチーム育成ゲームは大好きなので、監督としてはそれなりにちゃんとやってるのではないかと思います。(ただ、ミズリがサッカーを全然知らないので、その辺はご容赦を^^;)
……と、そういう感じで…… 基本的には気さくなみんなのお兄さんという感じの先生です。
英語教師ヒナタのことも、よろしくお願いします^^
■ 千紗の部屋を見たら、とっても可愛い家出さんが来ていましたよ。
「わぁ……! とても可愛いお客さんですね、千紗さん」
「ああ、そうだな」
黒い王冠をちょこっとかぶった、ちっちゃなクロメさん。わぁぁ、可愛い可愛い!
思わず、クロメ王君が遊びに来てくれたのかと思っちゃいました^^
バイレコ見たら、明日で丁度800日!
プラステ浸かってるし、島も最近のヤミショアイテムがあって、大事にされているお子さんみたいです。よかった^^
「……こうしていると、何だか…… まるで……」
「千紗さん?」
「いや、何でもない」
うっかり、微笑ましい妄想をしそうになっちゃった千紗さん^^
可愛いクロメさん。ご主人様がお迎えに来るまで、千紗の部屋でゆっくりしていって下さいね。
2009-06-25 02:46